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2021年3月21日 弁護士法人さくらさく法律事務所

債務整理に関する記事詳細

破産管財人はどのようなことをするのでしょうか?-破産管財人の選任・役割・権限など


弁護士の櫻田です。

自己破産の申立てをして管財事件型となる場合,裁判所から破産管財人が選任され,破産管財人が破産者の財産の管理や処分を行うことになります。

破産管財人が選任される場合とは,
一定額(概ね20万円)を超える財産がある場合
浪費やギャンブルなど免責不許可事由があることが疑われる場合
法人及びその代表者の場合
個人事業主の場合
資産調査が必要な場合(申立前の調査が不十分な場合)
などです。

管財事件型が自己破産の原則的な手続となりますが,統計上,全体の自己破産のうち,管財事件型となるのは4割程度(東京地方裁判所の管轄では6割程度)です。
残りの6割程度(東京地方裁判所の管轄では4割程度)は,破産管財人が選任されない同時廃止型として処理されることになります。

では,管財事件型となり,破産管財人が選任された場合,破産管財人は,具体的にどのようなことをするのでしょうか?
今回は,破産管財人の仕事や権限などについて説明します。

破産管財人の選任


まず,破産管財人は裁判所が選任します(破産法74条1項)。

どんな人が破産管財人に選任されるか不安かもしれませんが,公平な裁判所が破産法や手続の知識や経験のある人を選任するので,この点は安心していいと思います。

そして,法律の規定はありませんが,通常,破産管財人に選任されるのは,申立てをした裁判所の管轄内で破産管財人候補者名簿に登録されている弁護士です
例えば,東京地方裁判所に自己破産の申立てをしたのであれば,名簿に登録されている東京23区内の弁護士が選任されることになります。

破産管財人が選任されるのは,破産手続開始決定時ですが,実際は,その前に裁判所から候補者に打診をして内定されています。
東京地方裁判所の場合は,申立てをして即日面接をした日に,破産管財人が選任されるのが通常です。

破産管財人の役割・権限


破産法では,破産管財人とは,「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」と定義されています(2条12項)。

破産者の代理人は破産者の味方ですが,破産管財人は,裁判所に代わって公平・中立に破産手続を進める立場にあります。
破産者側への配慮としては,破産者の経済生活の再生の機会の確保を図る立場にあり(破産法1条),債権者側への配慮としては,破産者の財産を処分・換価して配当をする立場にあります。

では,破産管財人には具体的にどのような権限があり,どのような仕事をするのでしょうか?

破産法では78~90条で具体的に破産管財人の権限等が規定されていますが,以下,破産管財人の主な仕事について,分かりやすく見てみましょう。

破産者と面談をすること

破産管財人は,選任されるとすぐに,破産者と面談をします。
破産者に代理人が就いていれば,代理人も面談に同席します。
東京地方裁判所の管轄では,破産手続開始決定までに面談をすることになっています。

破産者には,破産管財人の業務に協力して必要な説明をする義務があります。これを怠ると,免責不許可となる場合があるほか,最悪,刑罰が科される可能性もあります。

破産者の財産,負債,破産に至った事情・経緯,免責不許可事由の有無などを調査すること

破産管財人は,申立書やその添付資料,破産者との面談を通じて,破産者の財産の調査をして,破産財団に属するものはその管理をすることになります。
例えば,換価対象となる自動車があれば,交通事故等が起きないよう,適切に管理をしなければなりません。

また,破産者の負債の調査もします。申立書に添付した債権者一覧表に加え,債権者からの債権届を精査して,公平な配当がなされるよう注意しなければなりません。

さらに,破産に至った事情・経緯,免責不許可事由の有無などの調査をして,免責が相当かどうか検討します。

破産者に届く郵便物をチェックすること

破産手続開始決定後,破産者宛ての郵便物はすべて破産管財人に配達されることになります(これを「嘱託回送」といいます。破産法81条)。

破産管財人は,郵便物を開いて内容をチェックして(破産法82条),申告されていない財産がないかなどを確認することになります。

チェックが終わった郵便物は,問題がなければ,そのまま破産者に返されます。

破産者の破産財団に属する財産を管理して処分・換価すること

上記の破産法における破産管財人の定義にもあるとおり,破産者の財産を管理して処分・換価することが,破産管財人のメインの仕事といえるでしょう。

原則として,破産開始決定時に破産者が所有している財産はすべて破産財団として,破産管財人の管理の対象となります(破産法34条1項)。
ただし,例外として,99万円以下の現金,差押禁止財産については,自由財産として,破産者が所持し続けることが認められています(破産法34条3項)。
このほか,東京地方裁判所を始め,多くの裁判所の運用では,20万円以下の預貯金,保険の解約返戻金,自動車など,生活に必要な一部の財産についても,自由財産として認められています。

自由財産として認められれば,破産管財人の管理処分権の範囲から外れるため,没収されることはありません

他方,自由財産ではない破産財団について,例えば,不動産,有価証券,20万円以上の価値がある自動車などは,原則として,破産管財人が業者などを通じて売却することになります(これを「任意売却」といいます)。

自由財産の拡張について裁判所に意見を出すこと

上記のとおり,自由財産であれば処分・換価の対象とはなりませんが,破産者の事情によっては,自由財産の範囲が拡張されることがあります(これを「自由財産の拡張」といいます。破産法34条4項)。

自由財産の拡張を決定するのは裁判所ですが,この判断について破産管財人の意見を聴くこととされており(破産法34条5項),裁判所は破産管財人の意見を重視する傾向にあります。

ただし,自由財産の拡張については過度な期待をしない方がいいです。
年齢や病気等のやむを得ない事情がある場合には認められる可能性がありますが,単純に手元に財産を残したいからという理由ではまず認められないでしょう。
また,拡張が認められたとしても,財産総額で99万円が限度となることがほとんどです。

否認権を行使すること

破産管財人には,否認権を行使することが認められています(破産法173条1項)。

ここでの詳細な説明は割愛しますが,否認権とは,破産者が破産手続前に不当に自らの財産を減少させるなどの行為をした場合に,その行為をなかったことして,その財産を取り戻すことができる権限をいいます。

破産者の財産は,債権者に公平に配当されなければなりませんが,破産手続前に,破産者が勝手に,財産を譲渡して減少させたり,一部の債権者だけに返済したりしてしまった場合には,破産管財人は,それらの行為を否認して,財産を取り戻すことができるのです。

財産を譲渡したり,返済したりした相手方が財産の返還に応じない場合は,破産管財人は,破産者に代わって,訴訟を提起して,財産を取り戻すこともできます。

破産者が有する債権を回収すること

破産者が,誰かにお金を貸していたり,売掛金を有していたりする場合,破産管財人は,破産者に代わって,破産者の債権の回収を図ることになります。

回収の見込みがあれば,訴訟等の法的手続により回収することもあります。

債権者に対して公平に配当すること

財産の処分・換価等によって配当ができる破産財団が形成された場合,破産管財人は,債権者に対して,これらを公平に(債権額に応じて)配当することになります。

破産者の生活や家計状況を指導・監督すること

破産法の目的が,破産者の経済的更生を図ることにある以上,破産管財人としても,この観点から,自己破産後に,破産者の生活が再建されるよう,必要な指導や監督をすることになります。

過去に浪費やギャンブルの傾向があった場合,これらが理由で再び経済的に破綻しないよう諭されることもあります。

免責許可について裁判所に意見書を提出すること

免責を許可するかどうかは裁判所が決定しますが,免責の可否について,破産管財人は裁判所に意見書を提出します。

破産者に関する調査を直接してきたのは破産管財人ですので,裁判所は,破産管財人の意見を重視する傾向にあります。

破産管財人から免責相当(又は裁量免責相当)の意見があれば,裁判所としても,ほぼ免責許可の決定をすると思います。

破産管財人に対する監督


以上のように,破産管財人には多大な権限が付与されていて,破産者が免責を受けられるかについて大きな影響力があります。
そこで,破産法には,破産管財人の不適切な行為や行き過ぎた行為をコントロールすべく,破産管財人を監督する規定も置かれています。

裁判所による監督・解任

裁判所が破産管財人を選任する以上,裁判所は破産管財人を監督することになります(破産法75条1項)。

破産管財人に不適切な行為があった場合には,裁判所は破産管財人を解任することもできます(破産法75条2項)。

債権者による異議・解任申立て

破産管財人は,債権者集会において,破産手続に関する計算報告書を提出します。
債権者は,債権者集会に出席をして,この計算報告書に異議を述べることができます(破産法88条4項)。

また,破産管財人に不適切な行為があった場合には,裁判所に対して解任の申立てをすることができます(破産法75条4項)。

債権者委員会の意見

債権者は債権者委員会を構成することができますが,債権者委員会は,裁判所又は破産管財人に対して意見を述べることができます(破産法144条3項)。

また,破産管財人は,債権者委員会に対して報告義務を負います(破産法146条)。

破産者本人による異議・解任申立て

債権者同様,破産者本人も,破産管財人が提出した計算報告書に異議を述べることができます(破産法88条4項)。

また,破産管財人に不適切な行為があった場合には,裁判所に対して解任の申立てをすることができます(破産法75条4項)。


今回は,破産管財人の仕事や権限などについて説明しました。
破産管財人には強大な権限がありますが,破産者本人は破産管財人を選ぶことはできません。そして,破産管財人に協力をして説明する義務があります。
しかしながら,破産管財人に対するコントロールも法定されており,破産管財人が恣意的に職務を遂行するわけではありません。
ですので,不安にならず,破産管財人の指導・監督に従って,破産手続を進めてもらいましょう。
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