ホームページ(ドメイン)移転のお知らせ

当ホームページ(https://lear-law.com)はURLを変更しました。
新しいURLは https://sakura39-saimu.com/ です。
誠にお手数ではございますが、お気に入りやブックマークのURL変更をお願いします。


2021年3月21日 弁護士法人さくらさく法律事務所

債務整理に関する記事詳細

破産手続における自由財産の拡張②-判断要素・問題となる場面


弁護士の櫻田です。

前回に引き続き,自由財産の拡張に関する記事です。

今回は,自由財産の拡張の可否を判断するにあたって考慮される事情や,問題となる場面についてご説明します。

自由財産の拡張の判断要素


自由財産の拡張の可否は,次のような事情を総合的に考慮した上で判断されることになります。

破産者の生活の状況

破産者の年齢,職業,世帯構成,本人や家族の病気等の有無・程度などが判断要素となります。

例えば,破産者が高齢で就業の見込みがないこと,破産者やその家族が病気で障害を抱えていること等の事情があれば,拡張が認められやすい方向に働きます。
他方,破産者が若く,病気等もなく,就業に支障がない場合などは,拡張が認められ難くなります。

破産手続開始決定時に破産者が有していた財産の種類及び額

破産者が有している自由財産の種類及び額などが判断要素となります。

例えば,現金や預貯金をほとんど有していない場合は,拡張に積極的な事情となります。
他方,破産者が相当額の現金や預貯金を有している場合は,加入している保険について自由財産の拡張を求めても,現金や預貯金から解約返戻金相当額の財産組入れを求めても生活に支障が生じなければ,拡張は認められないことになります。

破産者が収入を得る見込み

破産者の就業状況や収入額(将来の見込みも含む)などが判断要素となります。

例えば,破産者が個人事業主として営んでいた事業が破綻して,転職も難しい状況であれば,拡張が認められやすくなります。
他方,破産者が安定した企業に就職しているなどして,継続的に給与収入を得ているのであれば,拡張は認められ難くなります。

その他の事情

拡張を求めている財産の種類及び額債権者の対応状況配当見込みなどがその他の判断要素となります。

例えば,拡張を求める財産が破産者の唯一の生活の糧である年金の振込口座となっている預貯金である場合,拡張について債権者が特段の反対をしていない場合,拡張を認めてもなお配当が可能である場合などは,拡張に積極的な事情になります。
他方,拡張を求める財産が破産者の生活には必要不可欠とはいえない株式等の有価証券の場合,拡張について債権者が反対の意見を出している場合,拡張を認めると配当が不可能になる場合などは,拡張に消極的な事情になります。

自由財産の拡張が問題となる場面での実務上の対応


自由財産の拡張の場面では,基準を杓子定規に捉えてはならず,破産手続の公正と破産者の生活保障のバランスを踏まえて柔軟に対応することが必要です。

以下,問題となりやすいケースの実務上の対応を紹介します。

保険解約返戻金

保険については,破産者本人やその家族が現に利用中である場合や,病気等が原因で保険の再契約が困難であるため契約を継続する必要性が高い場合には,一般的に,破産者の自由財産から解約返戻金相当額を破産財産に組み入れさせて,保険契約を解約せず,保険解約返戻金を換価しないという取扱いがなされます。
例えば,解約返戻金が30万円の保険に加入している場合,現金等の自由財産から30万円を破産財産に組み入れることで,保険契約は解約されず,加入を継続することができるのです。

もっとも,破産者に解約返戻金相当額を破産財団に組み入れる資力がない場合には,保険契約を継続する必要性や破産者の資力などの事情を考慮して,そのまま自由財産として拡張することが相当とされる場合もあります。
ただし,20万円を超える解約返戻金がある保険に加入している場合,破産財団への組入れをまったくせずに,そのまま自由財産として拡張されることは,経験上,非常にレアなケースです。

退職金債権

退職金債権については,その1/8相当額が20万円を超える場合,原則として,その全額を破産財団に組み入れる必要があります。

しかし,退職金の額が高額の場合には,破産者の資力によっては,組入れの期間が相当長期化することになります。

そこで,あくまで破産者の収入や生活状況を考慮した上のことですが,退職金の1/8相当全額に満たなくても,一定額の組入れがあれば,その余については自由財産の拡張が認められることがあります

なお,20万円の引継予納金が組入れとして考慮される場合もあります。

売掛金

破産者が個人事業主などの場合,財産として,未回収の売掛金を有していることがあります。この売掛金のうち,破産手続開始前に発生したものについては,回収をすれば,破産財団を構成し,全額が処分・換価されることになるのが原則です。

しかし,破産者がその売掛金で生活費を賄っている場合には,それがすべて処分・換価されてしまうと,生活の糧を失うことになってしまいます。これは,破産者が給与所得者である場合と比べて,不均衡な結果となります。

そこで,売掛金のうち,破産者の生活に必要不可欠な部分については,自由財産の拡張をして,破産者自身に回収させるか,破産管財人が回収した上で破産者に返還するといった取扱いがなされることがあります


今回は以上です。
自由財産の拡張が認められるかどうかは,詳細な事情を把握した上で,拡張を求める財産を選択しなければなりません。
専門的な知識と判断が必要になりますので,ご自身で自由財産として拡張されるから大丈夫だとは思わず,当事務所にご相談ください。
トップへ戻る